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仕事を辞める人の前兆とは?びっくり退職を防ぐ職場の対処法|引き留めるには

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「まさかこの人が辞めるとは思っていなかった」

従業員からの突然の退職願に頭を抱える人事担当の方は多いのではないでしょうか。

仕事を辞める人の前兆を見落とさなければ、早めに対策を講じて退職を防ぐことができます。そこで本記事では、仕事を辞める人の前兆や、従業員に長く働いてもらうための職場づくりのポイントについて詳しく解説します。

仕事を辞める人の4つの前兆

仕事を辞める人の前兆は、主に以下の4つが挙げられます。

・勤怠が悪くなる
・身だしなみが変わる
・周囲とのコミュニケーションが少なくなる
・新しい業務への関心が薄くなり、生産性が落ちる

突然のびっくり退職を防ぐために、仕事を辞める人の前兆を見落とさないようにしましょう。よくある4つの前兆を詳しく解説します。

1.勤怠が悪くなる

遅刻や早退、欠勤が増えるなど、勤怠が悪くなるのは仕事を辞める前兆のひとつです。以前まで勤怠に問題がなかった従業員の欠勤などが目立つようになった場合には、仕事へのモチベーションが失われてやる気がない、転職活動を開始して採用面接の準備をしている、有給休暇を計画的に消化しているなどの理由が考えられます。
また遅刻の回数が徐々に増えていったり、当日欠勤が続く場合には、メンタルヘルス不調によって出社するのが困難な状態に陥っている可能性もあります。

2.身だしなみが変わる

以前までカジュアルな服装や髪色をしていた人が、フォーマルな服装や落ち着いた髪色になった場合、既に転職活動を開始している可能性があります。
また反対にこれまでしっかりと身だしなみを整えていた人が、だらしない印象になった場合も仕事を辞める人の前兆といえます。何らかの心情の変化があり、仕事への熱意が失われてやる気が無くなっている可能性や、メンタルヘルス不調によって身だしなみを整える心の余裕がなくなっている可能性が考えられます。

3.周囲とコミュニケーションが少なくなる

仕事を辞めようとしている場合、ランチや飲み会、ちょっとした雑談など、周囲とのコミュニケーションの場を避けるようになる場合があります。
正式に退職が決まるまでは、退職を検討していることや転職活動をしていることを周囲に気付かれないように、必要以上の会話をしないようにしようと考えているかもしれません。
これまで積極的にコミュニケーションを取っていた人が、突然周囲との関係が希薄化している場合、仕事を辞める前兆と考えられます。

4.新しい業務への関心が薄くなり、生産性が落ちる

退職を決意している場合、新しいプロジェクトなどを任せられても最後まで責任が取れないため、積極的に関与することを避けるようになるでしょう。
また以前と比べて業務の生産性が落ちている場合、「どうせ辞めるから評価に関係ない」「頑張る必要がない」と投げやりになっている可能性があります。

またメンタルヘルス不調によって思うように業務に集中できないという場合もあります。集中力や意欲が低下すると、以前まで出来ていた業務がこなせず、スピードや質が落ちてしまいます。

従業員が仕事を辞める理由は?

従業員が仕事を辞める理由はさまざまですが、主に以下の4つが挙げられます。

1.職場の人間関係が悪い
2.給与や働き方に不満がある
3.今後のキャリアへの不安
4.メンタルヘルス不調の可能性も

1.職場の人間関係が悪い

苦手な上司や同僚がいる職場や、コミュニケーションが希薄な職場だと、些細な業務の悩みや不安を共有できる場所がなく、ストレスが積み重なり退職を決意する人が多くいます。

またエン・ジャパン株式会社によると、退職経験者の約4割が「本当の退職理由を伝えなかった」と回答しており、会社に伝えた理由の1位は「新しい職種にチャレンジするため」ですが、本当の退職理由の1位は「職場の人間関係が悪い」でした。
会社に本当の退職理由を伝えなかった理由は「話しても理解してもらえないと思ったから」などが挙げられており、コミュニケーションが上手く取れずに信頼関係の構築ができていない結果として退職につながっていることが分かります。

参考:『エン転職』1万人アンケート(2022年10月)「本当の退職理由」実態調査|エン・ジャパン

2.給与や待遇に不満がある

給与が業務量や成果に見合っていない場合、転職をして年収アップを目指そうとする可能性があります。またワークライフバランスが推進される中で、給与だけでなく育休制度や時短制度、フレックスタイム制などの待遇を重視する傾向が高まり、多様で柔軟な働き方が求められています。柔軟な働き方ができない場合、育児や介護などの家庭との両立が難しいために退職に至るケースがあります。

3.今後のキャリアへの不安

「業界や会社に将来性を感じない」「年功序列でなかなかキャリアアップができない」など、今後のキャリアへの不安を感じて退職を決意するケースです。
特に20代の若手層は自律的なキャリア形成の意識が高まっています。株式会社リクルートによると、Z世代(26歳以下)の転職は5年間で約2倍の右肩上がりで増加しており、若年層にとって転職が一般的なものとなっていることが分かります。「人生100年時代」や「終身雇用の崩壊」が叫ばれる中、どの会社でも通用するゼネラリストとしてのキャリアを求める傾向があります。

参考:Z世代(26歳以下)の就業意識や転職動向|株式会社リクルート

4.メンタルヘルス不調の可能性も

前章で紹介した「仕事を辞める人の4つの前兆」はメンタルヘルス不調の前兆にも当てはまります。
厚生労働省によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により退職した労働者がいた事業所の割合は、300人以上の事業所では33.2%、1,000人以上の事業所では75.4%でした。
またメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.4%となっており、企業におけるメンタルヘルス対策への取組は欠かせないものになっているということが分かります。

参考:令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況|厚生労働省

真面目な人ほど急に辞めるケースも

普段から仕事の不満を周囲に発散している人や、勤務態度が悪い人よりも、おとなしく真面目な人ほど急に仕事を辞めるケースがあります。真面目さが原因で急に仕事を辞める人の特徴として、以下の例が挙げられます。

完璧主義

理想が高く妥協をしない完璧主義の人は、責任感が強く周囲の人からの信頼や期待を得られやすい分、他人を頼ることができずに自身を追い込んでしまう傾向があります。
また、自身の仕事内容に対しての評価が厳しく、理想通りに完遂できないと「失敗」と判断してしまうなど、極端なゼロイチ思考に陥りやすいのが特徴です。
完璧に業務をこなせない状態を受け入れられず、突然辞めてしまうケースがあります。

仕事を断れない

真面目でおとなしい人ほど、頼まれた仕事を断れずにキャパオーバーになってしまうケースがあります。急な依頼や無理な要望を頼まれても断れずに引き受けてしまい、周囲が気付かないうちにある日突然限界が来てしまうのです。突然の退職に周囲は「意欲的に業務に取り組んでくれていたのになぜ?」と驚きます。

ストレスを溜め込む

真面目な人は職場への不満や嫌な業務があっても周囲の人に吐き出すことができず、一人で抱え込んでしまいストレスを溜め込みがちです。上手くストレスを発散できない状態が続くと、気分が落ち込み集中力が低下するなどの精神的ストレス反応や、頭痛や肩こり、めまいなどの身体的ストレス反応が出ます。ストレス反応を放置してさらに悪化させることで、適応障害やうつ病などを引き起こす可能性があり、メンタルヘルス不調が原因で急に辞めるケースがあります。
メンタルヘルス不調になりやすい人の特徴としても、真面目、几帳面、仕事が好きで他人との円滑な関係を保つことに気を遣うなどがあげられます。

ストレスチェックや健康診断のデータ活用が重要

ストレスチェックや健康診断は実施して終わりではなく、前年からの数値データの変化を比較することが重要です。

従業員個人の結果と、チーム単位の結果をそれぞれ両方から前年と比較することで、業務過多によるストレスや、ハラスメントが発生している可能性を見つけられます。また、同僚や上司から適切なサポートが受けられているかも確認することができます。

ストレスチェックや健康診断に加えて、会社への帰属意識を調べるエンゲージメントサーベイのデータを活用することも重要です。近年では、このような従業員の健康データをシステムで一元管理することができる健康管理システムの提供もあり、健康経営を推進する企業での導入が進んでいます。

仕事を辞める前兆に気が付いたら、企業が対応するべき3つのこと

大切な人材を流出させないために、仕事を辞める前兆に気が付いたら企業が対応するべきことは以下の3つです。

業務量の調整や配置転換を検討する

給与に見合わない業務量や、職場の人間関係の悪さが理由の場合、業務量を調整したり配置転換をしたりなど、解決策がないかを本人と一緒に検討しましょう。全ての従業員の希望通りに対応することは不可能ですが、解決に向けて企業が協力的な姿勢を取ることが重要です。

キャリア面談を実施する

「新しい業務に挑戦したい」「早く昇進をして裁量権を持ちたい」など、キャリアチェンジやキャリアアップを目指している場合、本人のキャリアプランと企業が提示できるキャリアパスのすり合わせをしましょう。漠然とキャリアに不安を抱えているケースもあるので、キャリアプランを明確化させることで、転職をしなくても社内で活躍できる希望が見つかる可能性があります。

産業医と連携し適切な指導を受ける

メンタルヘルス不調の可能性がある場合、産業医と連携をして面談などの適切な指導を受けましょう。症状次第ではいきなり退職をするのではなく、一度休職をして心身共にしっかり休養をしてから復職することが望ましいです。

従業員が辞めない職場を作るための4つのポイント

従業員の退職を防ぐには、安心して長く働ける職場づくりを推進することが重要です。特に大切なポイントは以下の4つです。

1.多様な働き方を導入する
2.コミュニケーションの促進を図る
3.オフィス環境を整備する
4.ストレスチェックを定期的に行う

1.多様な働き方を導入する

育休制度や時短制度、在宅ワークやフレックスタイム制など、多様で柔軟な働き方を実現することで、育児や介護などを理由に退職する従業員を引き留めることができます。
また有給休暇の取得が取りやすい雰囲気や定時で帰りやすい雰囲気づくりも重要です。業務の効率化を行い無駄な残業を無くし、生産性を上げることでワークライフバランスの充実にもつながります。

2.コミュニケーションの促進を図る

職場の人間関係を円滑にするためには、コミュニケーションの促進が必要です。特に管理監督者が部下に対して行うラインケアを実施することで心理的安全性が高まり、ストレスを一人で抱え込まずに相談しやすい環境を作ることができます。
上司は日頃から部下の行動や発言を気にかけ、いつもと違う様子が見受けられた時には早めに気付くことが重要です。上司から一方的にアドバイスをするのではなく、部下の話に傾聴することを意識しましょう。

参考:ラインによるケアとしての取組み内容|厚生労働省

3.オフィス環境を整備する

従業員がイキイキと活気溢れる状態で働けるように、オフィス環境を整備する必要があります。従業員の健康を保持・増進するためには、以下の7つの行動を誘発させる環境を作りましょう。

・快適性を感じる
・コミュニケーションをする
・休憩・気分転換をする
・体を動かす
・適切な食行動をとる
・清潔にする
・健康意識を高める

具体的には、休憩するためのリラクゼーションルームを設置したり、座位行動を減らすために立ち仕事スペースを設置したりすることで、7つの行動を誘発させます。

参照:健康経営オフィスレポート|経済産業省

4.ストレスチェックを定期的に行う

メンタルヘルス不調による退職を防止するために役立つのが、ストレスチェックです。
ストレスチェックの実施によって、ストレスの溜まり具合や原因を客観的に把握することができます。高ストレス者はメンタル不調を未然に防ぐために、医師による面接指導が定められています。高ストレス者がストレスとの付き合い方について指導を受けるだけでなく、面接指導から得た情報によって、企業は職場環境の改善へとつなげることが期待できます。

現状ではストレスチェックの実施義務は従業員数が50名以上の事業所が対象となりますが、従業員数に関わらずストレスチェックを実施することが望ましいでしょう。

産業保健の推進が離職防止につながる

突然のびっくり退職を防ぐためには、日頃から従業員とのコミュニケーションを積極的に取り、業務量や人間関係においてストレスを抱えていないか把握しておくことが重要です。
ストレスチェックの実施や産業医との面談など、産業保健活動の推進に取り組むことで、従業員の離職を防ぐことができます。