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メンタル対策のキホン「4つのケア」とは?教材の紹介と活動のポイント

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リモートワークの普及をはじめとした働き方の変革期では、メンタルヘルス不調の予防・対策が重要になります。

そして、厚生労働省では、企業において適切なメンタルヘルス不調対策を行うために「4つのケア」と呼ばれる活動を軸として行うことが推奨されています。

この記事では「4つのケア」の内容と、経営者・労働者個人・産業保健スタッフそれぞれの役割について解説します。

メンタルヘルス対策における「4つのケア」とは?

「4つのケア」とは、職場におけるメンタルヘルス対策の基本

「4つのケア」とは、厚生労働省の指針(労働者の心の健康の保持増進のための指針)で示されているメンタルヘルスケアのことであり、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つで構成され、事業場におけるメンタルヘルス不調対策の基本的な活動とされています。

●メンタルヘルス対策における4つのケア

・セルフケア

・ラインによるケア

・事業場内産業保健スタッフ等によるケア

・事業場外資源によるケア

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また、概要は以下の図のようになっており、担当者のそれぞれが協力し、役割を果たすことで効果を発揮する仕組みになっています。

出典:労働者健康安全機構「産業保健21(第81号)」P.13をもとに作成

4つのケアの事前準備:「心の健康づくり計画」の策定

4つのケアの活動を始める前の準備として「心の健康づくり計画」を策定することが重要になります。

「心の健康づくり計画」とは、企業がメンタルヘルス対策を行う際の基本方針のことです。

基本方針の内容として、労働者の健康情報の取り扱いに関することや、メンタルヘルスケアの体制整備に関することを定めましょう。

4つのケアその①:メンタルヘルス対策の第一歩「セルフケア」とは

セルフケアは”全員で取り組む”ことがポイント

「セルフケア」の対象は従業員だけではなく、管理監督者も含めた“働く人全員”です。

働く人全員がそれぞれ個人で取り組む「セルフケア」がメンタルヘルス対策の第一歩になります。

しかし、メンタルヘルスやストレスに対して知識が不足していると、適切な対策ができない恐れがありますので、メンタルヘルス対策の正しい知識が得られる教材を用いて、自己学習・社内での研修を行うことが大切です。

セルフケアについて学べる教材

セルフケアについて学べる以下2つの教材は、厚生労働省の運営する「こころの耳」のホームページからダウンロードすることが可能です。

「労働者個人向けストレス対策(セルフケア)のマニュアル」

個人向けストレス対策(セルフケア)の基本的な考え方とセルフケア教育を効果的に行うためのポイントが学べます。

「労働者個人向けストレス対策(セルフケア)のマニュアル〈実践編〉」

3つの異なる実践例と、各プログラムで使用する配布資料・ワークシートが豊富に掲載されているため、社内で行うメンタルヘルス研修に役立ちます。

※各種マニュアルは「こころの耳」のホームページにて公開されています

また、必要に応じて外部の機関が主催するセルフケア研修を受講することも検討するとよいでしょう。

4つのケアその②:職場の管理監督者が行う「ラインによるケア」とは

管理職の行うメンタルヘルス対策が「ラインによるケア」

「ラインによるケア」とは、職場の管理監督者(主に部長や課長など)が日常的に行うメンタルヘルス対策のことです。

主な取組み内容は「遅刻や欠勤の増えている従業員がいないか?」「暗い表情をしていたり、妙な言動や行動をとっていないか?」といった“いつもと違う”ことにいち早く気付くことをはじめ、部下からの相談に対応することや、職場環境の改善を行うことです。

「ラインによるケア」が学べる教材

「ラインによるケア」を学習する際には、厚生労働省の運営するEラーニングのサイト「15分でわかるラインによるケア」を利用するとよいでしょう。以下の事項が15分ほどで学べる内容になっています。

「15分でわかるラインによるケア」で学べること

  • 管理監督者の役割
  • 部下からの相談対応
  • 個人情報の適切な取り扱い
  • ストレス要因の把握、改善
  • 職場環境改善について
  • 職場復帰支援について  など

出典:こころの耳「15分でわかるラインによるケア

メンタルヘルス不調による休職のリスク度を知っておく

管理職の方がラインによるケアを進める際、メンタルヘルス不調の度合いを知っておくことも大切です。

産業保健サービスを展開しているエムステージでは「メンタルヘルス不調による休職・復職のリスク」が把握できるチェックシートを提供しており、メンタルヘルス不調を調べることができます。

このチェックシートは無料でダウンロードすることが可能ですので、チェックしておきましょう。

「休職・復職対応リスク度チェックシート」:全20項目から当てはまる項目にチェックすることで、自社の休職・復職制度・体制について確認できるチェックシート。

チェックシートのダウンロードはこちらから。

4つのケアその③:産業医・保健師からの支援「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」とは

メンタルヘルス不調の対策には、産業医等の専門スタッフと連携する

「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」とは、企業にいる産業医や産業保健師といった医療専門職からの支援を受けることです。

「セルフケア」と「ラインによるケア」の効果をしっかり発揮するためには、産業医・産業保健師との連携が欠かせません。

例えば、産業医・産業保健師が職場巡視を行った際、気付いた変化などを管理監督者と共有します。

その上で、産業医は職場の環境改善に必要な助言をするなど、事業場を総括的にケアする役割があります。

そして、産業保健スタッフは、衛生委員会の場を活用して、メンタルヘルス対策に関する社内研修を企画することや、労働者との面談結果をもとに、課題の解決に向けた取組みをします。

なお、企業にとってメンタルヘルス対策の基本方針となる「心の健康づくり計画」を策定する際にも、産業医からの意見聴取が欠かせないものになります。

※「心の健康づくり計画」の策定については、サンポナビの関連記事「『心の健康づくり計画』企業の義務内容と助成金を解説」にて詳しく記載しています。

4つのケアその④:外部の専門機関を有効に活用した「事業場外資源によるケア」とは

事業場外資源によるケア、外部機関の一覧

「事業場外資源によるケア」とは、メンタルヘルス不調対策や各種の健康維持に関して専門的な相談が可能な機関や、産業保健に関する支援を行っている外部機関を利用した活動のことです。

主な機関としては以下のものがあります。

こころの耳

厚生労働省が主体となり、インターネット上で展開しているメンタルヘルスの総合的なポータルサイト。メンタルヘルスに関する最新情報はもちろん、企業にとってすぐに活用できる情報が多数掲載されています。

「こころの耳」のホームページはこちら

産業保健総合支援センター

全国各地に所在する産業保健活動の専門機関。様々な相談への対応や、メンタルヘルスに関する各種の研修を行っています(従業員数50名未満の事業場であれば「地域産業保健センター」が利用できます。)

「産業保健総合支援センター」のホームページはこちら

産業保健サービスを提供する民間企業

企業によっては産業医の紹介だけでなく、メンタルヘルス対応なども行っています。煩雑になりがちな人事担当者の産業保健業務を軽減するワンストップサービスを展開していますので、メンタルヘルス対策の体制整備の際などに大きな力となります。

「サンポナビ」の関連記事はこちら

・外部EAP機関

上記のような民間企業の中には、外部EAP機関として利用できるサービスを提供しているものもあります。

2023年以降もメンタルヘルス不調対策として「4つのケア」は重要

メンタルヘルス不調対策の柱となる「4つのケア」について、確認できましたか?

厚生労働省より「第14次労働災害防止計画」の素案が発表され、その中でもメンタルヘルス不調対策は産業保健活動の要点として取り上げられており、2023年以降も「4つのケア」を軸とした基本的な取り組みが欠かせないものになります。

大切なことは、ストレスについて理解を深め、各担当者が協力してすすめること。そのためにも、活動をバックアップしてくれる産業医の存在も不可欠です。

メンタルヘルス対策は、労災や疾病予防の入り口にもなりますので、積極的に取り組んでいきましょう。

参考:厚生労働省「こころの耳