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リワーク(復職)支援施設の現場スタッフが感じる、リワーク支援の必要性と願い

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メンタルヘルス不調者の復職支援サービスを提供する株式会社リウェルは、今年3月に代々木にリワークセンターをオープンしました。そこでは、うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調で休職・離職された方に対して、復職・就労に向けたサポートをおこなっています。

そんな代々木のリワークセンターで支援員を務めるお二人に、現場スタッフが感じるリワーク支援の必要性や思いを伺いました。

株式会社リウェル
リウェル代々木センター 支援員 上田さん(左)
放課後デイサービスの支援員を経て、2022年に株式会社リウェルに入社。初期メンバーとして、リワーク支援施設1号店のオープン業務に従事。施設オープン後は、支援員としてメンタルヘルス不調で休職・離職した方にリワーク支援サービスを提供。

株式会社リウェル
リウェル代々木センター 支援員 星野さん(右)
介護施設での介護支援員や、就労移行支援事業所での業務などを経て、2023年に株式会社リウェルに入社。支援員としてメンタルヘルス不調で休職・離職した方にリワーク支援サービスを提供。

――「リワーク支援」は、普段、耳にすることもそう多くはない言葉だと思いますが、リワーク支援スタッフを目指されたきっかけを教えていただけますか

上田さん:私は大学で心理学を学んでいまして、そこでの学びや周りの勧めで福祉の業界に興味を持ちました。前職では「放課後等デイサービス」という、発達障害をもつ子供たちの療育をしていました。そこで関わる子供たちが大人になった時に、サポート資源が充実していてほしいという思いと、学生時代から興味があった精神分野で働きたいという思いがあり、リワーク支援の支援員になることを決めました。

リワーク支援サービスは、サービス自体がまだまだ少ないのですが、リウェルはエムステージグループとしても新規の事業となり、サービスをつくっていくところから関われるという部分に惹かれ入社を決めました。

星野さん:私は、以前の職場に定期的にいらっしゃていた「職場適応援助者(ジョブコーチ)」という方の存在でリワーク支援というものを知りました。過去に、介護施設で介護支援をしていたことがあるのですが、支援をしていく中で、介護現場はすごく閉鎖的だと感じていました。
ジョブコーチは、障がいのある方が、職場に定着して長く働けるよう専門的に支援する人のことを言います。施設関係なくサポートすることができるということを知り「働くための支援」という分野に進むことにしました。

――それぞれ福祉の業界で活躍され、その中でリワーク支援員を目指されるようになったのですね。リワーク支援員として、普段はどのようなことをおこなっているのですか

上田さん:大きく分けて3つのことを行っています。
まず1つ目は、自分が担当する利用者の方の支援プランの作成です。
リウェルでは、現在約60のプログラムを提供しているのですが、このプログラムの中から、その方の状態や環境にあわせ、その方専用のプランを作成します。このプランの作成のためにも、定期的な面談や、普段の何気ないコミュニケーションなどを大切にしています。

2つ目は、プログラムの実施です。
各プログラムの講師となり、様々なアプローチの方法で、利用者の方の復職にむけたトレーニングをおこないます。

3つ目は、利用者の方が復職を目指す企業との連携です。
企業からもヒアリングをおこない、休職の原因や要因などを把握し、復職後の再発防止策を検討します。また、利用者の方の状況なども定期的に共有しています。

――リワークにおいては、利用者だけでなく企業との連携も必要になってくるのですね。
リウェルの特徴として、豊富な種類のプログラムがあるかと思いますが、具体的にはどのようなプログラムになるのでしょうか

星野さん:例えば、うつ症状をお持ちの方の治療効果や、再発予防効果が報告されている「認知行動療法」という心理療法に「行動活性化」という技法があり、それを集団プログラムとして提供しています。
具体的には、1週間の活動記録表をつけていただき、行動と気持ちの変化の関連を確認します。 その後、喜びや達成感を感じられる行動が増えるように行動計画を立て、実践、振り返りを行います。

私たちは、気分が落ち込むと活力が低下し、活動への興味や楽しみが低下します。活動量が低下すると興味や楽しみに触れる機会が減り、ますます気分の低下、無力感の増加、ひいては自己評価の低下を来す悪循環に陥ってしまいます。その行動パターンに気づき、喜びや達成感を感じられる行動に置き換えていくことで、気分を改善させていきます。

このような自分を知るためのプログラムや、ヨガなどの運動、生活習慣の見直しなど、復職のための様々なトレーニングを提供しています。

――現場のスタッフとして、課題を感じることはありますか

星野さん:最近では、リモートワークが増加し、コミュニケーションの取り方も変わってきていて、そのことに戸惑われている方も多くいらっしゃいます。まずは、メンタルヘルス不調者を増やさないために、そのような時代の変化にあわせた企業側の対応も必要になってくると思います。

上田さん:「メンタルヘルス不調者を増やさない」という部分で言うと、リウェルでは最近、新入社員を対象にしたメンタルヘルス不調予防の研修も実施しています。施設では、メンタルヘルス不調により休職・離職された方が復職するための支援をしていますが、そのような方を最初から減らしていくことも、リウェルの役割だと思っています。まずは、自分の身体をトレーニングするように、自分のメンタルをトレーニングすることをもっと身近に、もっと気軽に捉えていただければと思っています。

星野さん:「身近に」という点では、リワーク支援サービスはまだまだ知らない人が多いです。このサービスを知ってもらうだけでも、休職時の選択肢が増え、休職期間が少しでもよい方向に進むのではないでしょうか。

――「身体をトレーニングするように、自分のメンタルをトレーニングする」この考えが当たり前になっていくといいですね。最後に、今後の意気込みをお願いします

星野さん:利用者の方の復職が決まった瞬間は、やっぱり一番嬉しいです!ですが、復職はゴールではなく、スタートだと思っています。「自分らしく働く」ということは簡単なことではないですが、少しでもそのお手伝いができればと思っています。そのためにも、日々勉強し利用者さんに寄りそった支援を提供していきたいです。

上田さん:体調が回復したことで通所日数が増えたり、表情が少しずつ明るくなったり、この仕事をしていると、日々沢山の喜びとやりがいを感じることができます。休職することは、決して悪いことばかりではありません。一度立ち止まり、自分を知ることによって、より「自分らしく働く」ということに近づけるのではないでしょうか。支援員として日々スキルアップしていき、より本質的な支援ができるよう努力していきます。
そして、リウェルが掲げる「再休職率0%」という目標に、少しずつでも近づいていければと思っています。

――自分らしく働ける人を増やし、再休職率0%を目指す。本日はありがとうございました!