新入社員が体調を崩しやすい原因とは?予防法についても解説!
学生から社会人になり環境が変化することは、新入社員にとって大きなストレスの要因となり得ます。特に、人間関係の負担や生活リズムの変化などが関係していることが多いです。人事担当者や管理職の方の中には、新入社員が健康を損なわずに職場に定着する方法について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
新入社員の体調不良を防ぐためには、まず体調が崩れる原因を理解してメンタルヘルス不調のサインを見逃さないことが大切です。
この記事では、新入社員が体調を崩しやすい原因や体調不良のサイン、予防法について解説します。
新入社員が体調を崩しやすい原因
新入社員が体調を崩しやすい原因として、主に周囲の環境の変化や、人間関係が負担になることなどが考えられます。
また学生時代と比べて、社会人になってから生活リズムが大きく変化して体調を崩すこともあるでしょう。ここでは新入社員が体調を崩しやすい3つの原因について解説します。
周囲の環境変化
新入社員が社会人として働き始めると、周囲の環境が大きく変化します。慣れない環境でわからないことも多く、普段より疲れを感じやすくなります。その結果、心身に負担がかかって体調を崩す可能性があります。
例えば朝から通勤ラッシュの中、毎日出社することが負担に感じる新入社員もいるでしょう。朝から疲れの目立つ新入社員に対しては、声かけをしてサポートすることも大切です。
人間関係の負担
新入社員は、仕事を進める中で新たな人間関係を築く必要があります。職場の上司や同僚、顧客など、学生時代にはなかった人間関係にストレスを感じる場合があります。
新入社員が仕事に慣れるまでは、上司や先輩社員がサポートをして心身への負担を軽減することが大切です。
生活リズムの変化
学生と社会人の生活リズムは大きく異なるため、学生時代の生活習慣のまま仕事を始めると、体調を崩しやすくなります。例えば、学生の頃は夜型の生活をしていた新入社員の場合、夜の寝付きが悪くて睡眠不足に陥る可能性が高いです。
新入社員に仕事をする上での健康管理の重要性を伝え、社会人として生活リズムを整えるように啓発するとよいでしょう。
体調を崩した新入社員に現れるサイン
新入社員が体調を崩すと、次のようなサインを確認できることがあります。
- 遅刻や欠勤の増加
- パフォーマンスの低下
- 身なりや態度の変化
新入社員の体調の変化を見逃さずに、適切にフォローできれば病気になるリスクを回避できます。3つのサインについてはそれぞれ以下で解説します。
遅刻や欠勤の増加
遅刻や欠勤の増加は、メンタルヘルス不調を示すサインです。特に出勤途中で具合が悪くなったり、朝から体調が崩れて午後出社を希望したりすることが繰り返される場合は注意しましょう。
このような場合、職場に馴染めなかったり慣れない仕事でストレスを受けて不調に陥っている可能性があります。
パフォーマンスの低下
新入社員がメンタルヘルス不調を抱えると、急激に仕事のパフォーマンスが低下するケースがあります。パフォーマンスの低下に気づくためには、上司が新入社員の業務を日頃から観察し、いつもの様子と違いがあれば声かけなどを行うことが大切です。
上司が部下のメンタルヘルスケアを行うことを「ラインによるケア」と呼びます。
身なりや態度の変化
身だしなみが乱れていたり、普段する挨拶をしなかったりする場合も何らかのメンタルヘルス不調を抱えている可能性があります。
悪い意味での心境の変化によっても、身なりや態度が変化することがあります。例えば、仕事のストレスが原因で不安や怒りが表情に現れることがあるかもしれません。
仕事のパフォーマンスだけではなく、新入社員の身なりや態度にも気を付けましょう。
新入社員が体調を崩しやすい時期
株式会社インターメスティックの調査によると、人事担当者から見て新入社員の精神状態が最も不安定になる時期は5月や6月が多いことがわかりました。(※1)
この時期に体調が悪化することは一般的に5月病や6月病とも呼ばれ、ストレスが原因で新入社員が会社に来なくなったり、周囲とのコミュニケーションを取らなくなったりして精神的に不安定になるケースが見られるようです。ストレスが重度の場合は適応障害などの精神疾患が見つかることもあります。
(※1)参考:5月病に変化あり。増える「6月病」に要注意!入社後3ヶ月以内の離職者がいた企業が半数以上、精神状態が不安定になる時期は「6月」が約40%|PRTIMES
新入社員の体調不良を防ぐ方法
新入社員の体調不良を防ぐためには、次のような方法を実践するとよいでしょう。
・メンタルヘルスケアの実施
・生活習慣についてのアドバイス
・新入社員の年間健康管理計画の立案
・産業医面談の実施
それぞれのポイントは以下の通りです。
メンタルヘルスケアの実施
新入社員に対しては、メンタルヘルスケアを手厚くすることが大切です。
新入社員が社会に出て働き始めると、理想と現実のギャップを感じたり、強い責任感から過度に自分を責めたりして過度にストレスを抱えることがあります。その状態を放置すると、うつ病をはじめとした精神疾患を患うことがあるため注意が必要です。
まずは新入社員がセルフケアを実施できるように情報提供や教育を行いましょう。セルフケアを実践できるようになると、ストレス耐性の強い人材に成長することが期待できます。
また、上司や先輩社員に相談しやすい職場環境を整え、ラインによるケアが機能する状態を保つことも大切です。
必要に応じて保健スタッフがケアしたり、事業場外の医療機関への受診を進めたりして新入社員のメンタルヘルスケアを充実させましょう。
生活習慣についてのアドバイス
新入社員が仕事のパフォーマンスを維持して健康的に働くためにも、生活習慣のアドバイスが欠かせません。
生活習慣が乱れた状態では心身が不安定になり、仕事の成果が上がらないことを伝え、睡眠時間の確保やバランスのとれた食習慣の必要性を啓発しましょう。新入社員向けに健康教室などのイベントを開催することもおすすめです。
新入社員の年間健康管理計画の立案
新入社員の体調不良を予防するために、年間健康管理計画を立てましょう。年間健康管理計画には、以下の法律で義務付けられている取り組みを加えることが大切です。
・健康診断の実施
・健康診断後の措置
・ストレスチェック
さらに、メンタルヘルス研修やコミュニケーション研修、産業医面談を計画に盛り込むと新入社員のメンタルヘルスケアを強化できます。
産業医面談の実施
新入社員が体調を崩して欠勤や遅刻、早退を繰り返す場合、産業医面談で休職を判断することも選択肢の1つです。一般的には休職希望者である本人が面談を希望したり、外部の医療機関を受診して休職面談の実施に至ります。
体調不良が続く新入社員が早めに休職面談を申し込める環境を整えるためには、産業医の役割や面談を申し込む手順について事業所内で周知されていることが重要です。
健康面に関する新入社員への指導内容
ここでは健康面に関する新入社員への指導内容について、次の4項目を解説します。
・規則正しい生活を心がける
・食生活を整える
・睡眠を十分に取る
・仕事の悩みを上司や同僚に相談する
新入社員にどのようなアドバイスをすればよいかわからない場合は、ぜひ参考にしてください。
食生活を整える
食生活を整えるためには、毎日3食を決まった時間に摂ることが大切です。社会人として慣れない毎日を送る中では、つい食事が疎かになることも考えられます。
外食やコンビニ弁当などでは野菜が不足しがちになるので、社員食堂の定食メニューやスーパーの惣菜などで意識して野菜を摂るように伝えましょう。
また深夜に高カロリー食を摂らないようにすることも大切です。残業で遅くなった場合は、胃腸への負担の少ない軽食や栄養補助食品をうまく活用するようにアドバイスしましょう。
睡眠を十分に取る
疲れを回復させるためにも、睡眠を十分に取ることが欠かせません。厚生労働省によると、成人の適正な睡眠時間は6時間以上とされています。
適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。 引用:健康づくりのための睡眠ガイド2023|厚生労働省 |
また睡眠は時間だけではなく、十分に眠った感覚を持つことも大切です。新入社員が疲れを回復できるような睡眠を取るためにも、食習慣を整え運動習慣を取り入れることが大切です。
仕事の悩みを上司や先輩に相談する
仕事の悩みは早めに上司や先輩に相談するようにアドバイスしましょう。新入社員の場合はまだわからないことも多いため、早めに相談した方が問題の解決も早くなります。
相談の要領を掴めない新入社員がいることを想定して、相談をする際のコツを説明してあげるのもおすすめです。
相談する際のコツ ・相談してもよいか事前に確認を取る ・結論から話す ・自分の意見を伝える ・上司にどのようにしてもらいたいか伝える |
新入社員が体調を崩しやすい原因を理解して対策しよう
新入社員は、周囲の環境変化や人間関係の負担、生活リズムの変化が原因で体調を崩しやすい傾向があります。まずは社会人生活に不慣れな状況を理解して、適切な対策を講じましょう。
特に新入社員のメンタルヘルス不調が悪化すると、うつ病をはじめとした精神疾患に繋がるケースもあるため注意が必要です。新入社員のメンタルヘルスケアに気を配りつつ、職場環境の整備に取り組むことをおすすめします。