〈4つの実践法〉ハラスメント対策で注目を集める「アサーション」を紹介
ハラスメント対策やアンガーマネジメントの分野で注目されているアサーションは、上手に取り入れることで円滑な人間関係の構築やストレス軽減に期待ができます。
本記事では、アサーションに関する概要とトレーニング・実践方法について紹介しています。
アサーションを含む表現の3タイプ
まずは表現のタイプについて知っておくことが欠かせません。
表現のタイプには、一般的に「アグレッシブ(攻撃的)」「アサーティブ」「ノンアサーティブ(非主張的)」があるとされていますので、それぞれの特徴を見てみましょう。
アグレッシブ(攻撃的)
相手よりも自分の意見を優先して考えてしまうタイプがアグレッシブと呼ばれるものです。特徴として大声で恐怖心をあおることや、相手より優位に立とうとする等があります。
ノンアサーティブ(非主張的)
自分よりも相手の意見を優先して考えるタイプはノンアサーティブと呼ばれます。物静かな性格で自己主張が苦手であり、曖昧な表現や言い訳も多い特徴があります。
アサーティブ
3タイプのうち、最もコミュニケーションが得意とされるタイプです。自分と相手、両方を大切にする、いわゆる「空気が読める」性格で、人の気持ちを考えることができます。
「アサーション」とは?仕事・私生活におけるメリット
では、本題のアサーションについてです。
アサーション(Assertion)とは相手の意見を尊重しつつ、自分の意見をしっかり伝えるコミュニケーション術。
近年では、ストレス軽減やハラスメント対策の一環として注目を集めている技法です。
仕事におけるアサーションのメリットは、良好な人間関係の構築に期待ができること。職場の人間関係が良好であることは、自分の意見を言うことができ、また聴いてもらえることができます。
また、コミュニケーションに関するストレスが軽減され、メンタルヘルス不調者や離職者が減ることにも期待できます。
私生活にもメリットがあり、コミュニケーションが円滑になることで誤解が生じるケースが減るといったものです。
アサーションはトレーニングによって身につけることができますので、その内容もチェックしておきましょう。
〈まとめ〉アサーションを実践するための4つの方法
アサーションの実践方法①:「4つの柱」を活用する
アサーション実践の基本は「4つの柱」と呼ばれるものです。コミュニケーションを取る際には次の4点が重要になります。
・自分の気持ちを伝えるときは率直に伝える
・自分にも相手にも誠実であること
・自分の意見や行動の結果について責任を取る
・自分も相手も尊重し対等であること
アサーションの実践方法②:「I(アイ)メッセージ」を活用する
「I(アイ)メッセージ」とは「私」を主語にして自分の意見や気持ちを相手に伝えることです。
具体的には、次のように言い換えることで円滑なコミュニケーションにつなげるようにします。
・「あなたは間違っています」→「私とあなたの考えは異なります」
・「あなたの説明は抽象的すぎる」→「私はもう少し具体的な説明をしてほしいです」
・「この仕事をやっておいてください」→「この仕事をやってもらえると(私は)助かります」
アサーションの実践方法③:「DESC法」を使って気持ちを伝える
「DESC法」とは、Describe(説明)Express(表現)Specify(提案)Choose(選択)の頭文字をとったものであり、この構成で会話を行なうことです。
- Describe(説明):相手に状況を説明する
- Express(表現):どのように感じているか表現する
- Specify(提案):解決のための提案をする
- Choose(選択):「はい/いいえ」の結果を想定した返答を考える
※⑴~⑷をつなげると次のようになります。
「⑴今日は午後から気温が高くなりましたね。⑵部屋の中がとても暑いので、⑶窓をあけてもよいでしょうか。」
〈はい〉「⑷ありがとうございます」
〈いいえ〉「⑷それでは、エアコンをつけても良いですか?」
アサーションの実践方法④:メンテナンスの言葉を活用する
このように、言葉選びや言い回しによって伝わり方は大きく変わります。
また、挨拶や感謝・お礼、励ましといったメンテナンスの言葉を使うことで、良好な人間関係を構築することに役立つと考えられています。
具体的には以下のような言葉が挙げられます。
〈感謝〉「ありがとうございます」「助かりました」等
〈励まし〉「応援しているよ」「協力しますよ」等
〈慰め〉「大変でしたね」等
〈いたわり〉「無理はしないでね」等
〈称賛〉「頑張ってね」「尊敬しています」等
アサーションに関する概要とトレーニング・実践方法について紹介しました。
ハラスメント対策等で注目されているアサーションを上手に取り入れて、円滑な人間関係を構築していきましょう。