EAP相談窓口の機能とは?メリットとポイントを解説
近年では、新型コロナウイルス感染症の流行をはじめ、それに伴う働き方の変革が起こりました。同時に、企業においては従業員の健康を支援するため、EAPへの注目が高まっています。
本記事では「EAP」の基本的な事項から、その重要性や企業における導入時のポイントについて紹介します。
EAPの基本的な内容
EAPとは「Employee Assistance Program」のこと
EAPとは、従業員支援プログラムのことで、Employee Assistance Programの頭文字をとったものです。
EAPの発祥はアメリカで、アルコール依存症の対策として誕生しています。そのEAPは、1980年第に日本に導入されます。
日本ではEAPのことを主にメンタルヘルス不調対策のみを支援するプログラムとして呼ぶことが多いのですが、フィジカル面を支援するケースもあります。
そして、今からおよそ20年前の2000年に「事業場の労働者の心の健康づくりのための指針(厚労省)」が施行され、その中で「事業場外資源によるケア」の活用が取り上げられたことで、EAPは大きな注目を浴びるようになりました。
●EAPの定義
Employee Assistance ProgramまたはEAPは以下の2点を援助するために作られた
職場を基盤としたプログラムである。
1.職場組織が生産性に関連する問題を提議する。
2.社員であるクライアントが健康、結婚、家族、家計、アルコール、ドラッグ、法律、情緒、
ストレス等の仕事上のパフォーマンスに影響を与えうる個人的問題を見つけ、解決する。
出典:日本EAP協会ホームページ「EAPの定義」
EAPは体調・メンタルヘルス不調への早期アプローチ
次に、EAPの機能についてみていきましょう。
前述したように、EAPは健康に関する相談窓口ですので、窓口では医師や心理職といった専門スタッフが対応し、不調に対する早期アプローチにつなげる機能があります。
EAPは主に相談者のメンタルヘルスに関するヒアリングを行うことが一般的と考えられていますが、ハラスメントやその他心身の不調、依存症や経済的な不安、家庭環境の問題など、様々な悩みの相談を受け付けています。
そして、EAPを利用するの大きなメリットの一つが、働く人が本格的な不調になってしまう前に相談することで、様々な早期アプローチにつながることが期待できるという点です。
会社によっては、EAPの機能および相談窓口を社内に設置している場合(内部EAP)と、社外の専門機関(外部EAP)を活用しているケースの2パターンがあり、割合的には後者が多い印象です。
●内部EAP導入のメリット
- 相談員が社内の事情や文化を理解している
- 相談から問題への対応がスムーズになる場合が多い
- 相談員を常駐させるため、コストが高額になるケースが多い
●外部EAP導入のメリット
- 外部機関であるため、従業員が相談しやすい
- 相談員を常駐させるわけではないため、コストが抑えられる
- サービスによっては相談後に医師へ取次ぐフォロー等がある
- 24時間、365日対応しているサービスが多い
50%以上の労働者がストレスを抱えている
2021年の厚生労働省の調査(※)によれば「現在の自分の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合」は53.3%%でした。
つまり、働く人の半数以上が業務に関するストレスを抱えており、企業としても対策が求められているところであります。実際に、メンタルヘルス不調や過重労働等を原因に労災に発展してしまうような事態も起こっており、働き方改革をはじめ政府も対策に注力してます。
働く人と企業がEAP効果的に活用するためには
最後に、働く人と企業それぞれがEAPを効果的に活用するための要点を紹介します。
EAPが適切に利用されるためにはまず、働く人がEAPの存在や役割、機能といったものを理解している必要があります。企業としては、EAPの連絡先を掲示することや、EAPの活用についてアナウンスを行うなど、周知・啓発することが大切です。
また同時に、EAPに相談した内容はプライバシーが守られることや、利用するの効果についても広められると良いでしょう。
EAPの機能は、企業にとってはリスクマネジメントとしての効果があり、従業員には本格的なメンタルヘルス不調などを予防することにとても役立つはずですので、ぜひEAPを活用してみてください。